最近よくお客様から質問を頂くネタを
「新品のチェーンに元々塗られているグリスのようなベトベトオイル、これって落とすの?」
良くある意見として
・これは保管用のオイル。粘度が高すぎるからすぐに汚れを拾ってしまうので、落とした方が良い
・いやいや、工場で塗られたオイルなので、逆に暫く放っておいても大丈夫な素晴らしいオイル
それぞれどこを軸に何を重視するかによって答えは変わってきますが、Cycle Daysでは特別ご要望が無い限り、基本的にロードバイク・MTB
クロスバイク問わず
新品チェーンについたオイルは落とさずにそのまましばらく乗って頂いています。
まず、そもそも新品チェーンについているオイルは通常のチェーンオイル、ルブとは目的が異なります。
もちろんベタベタしているとはいえ潤滑性能は持っていますし、よく言われている「長期保管用のオイルだから」という意味ももちろんありますが、もう一つ大切な役割があります!
『新品のオイルは落とさないで乗ってください』
何年前かのSHIMANOのテックセミナーで黒川さん(業界で知らない人はいないシマノのトップメカニックさんです)が仰っていたのですが、新品チェーンは、新しい工業製品特有の微細なバリなどがあり、それを保護するために包み込んでいるのが新品チェーンに塗布されているあのベタベタのオイルだそうです。
安易に落としてサラサラのオイルを塗ってしまうと、こういったバリなどがプレートやピンなどお互いに攻撃しあって、チェーン自体の寿命を著しく低下させてしまうようです。
ちなみにこのオイル、パーツクリーナーなどで脱脂したくらいじゃ落ちません。なので表面だけ少し脱脂して、内部にはオイルが残るようにすれば、汚れのリスクも最小限になり内部を摩耗させることも無いという事になるかもしれませんが。
ただ、何か特別なご要望が無い限り、当店ではそのままの状態で一か月ほど、300~500kmほど乗って頂き、状態を見て洗浄・注油を実施します。
専用のディグリーザーとチェーンマシンを使ってもかなり落とすのに苦労します。それでしっかりクリーン&ドライになったチェーンに用途になったオイルを塗った後のパフォーマンスは最高です!!(スプロケ、チェーンリング、プーリー、ディレーラーも同時に実施します)
メンテナンス頻度が高くない普段使い用のMTB,クロスバイクなどではご使用用途などによりそのままで使っている方もいらっしゃいます。
ただ、本来の性能を発揮するには、まずは一定期間保護用のオイルをまとったまま乗って、その後しっかりと洗浄して用途に合ったオイルを注油するというのがベストでしょう。
※大事な記述を忘れていました!
・まず、何事も例外があること。
・そしてシマノの新型SILTECチェーンなど 表面コートがされていたり、元々軽めのオイルが塗られているものがありますのでそういった場合はまた少し違ってきます。表面精度とコーティングにより新品でも削れ合うリスクが殆ど無いのかもしれません。(実証していませんが)
スプロケやチェーンリングを交換した直後も馴染みが出るまでは微妙に変速が落ち着かなかったりしますよね?
馴染みだしというのはとても大切なプロセスなのです。
ちなみにレース現場で時々迷うのが
レース直前でチェーンを変えなければいけない場合。レースのような高負荷がかかる状態に、保護オイルのないチェーンオイルで挑むと寿命が縮むだけでなく大きなダメージ、最悪チェーン切れに繋がる事もあるとか。
そのレースは狙うレースなのか、それとも翌週以降の為の調整レースなのかによっても変わります。
ヒルクライムレースで、「このレースの為に一年練習してきた!!」という方の場合は、洗浄して少し油膜の残るような性質のオイルを塗ります。
逆に、「翌週のレースが本番なんだよ」という方の場合は、過剰なオイルを取り除いてそのまま乗って頂くか、本当に判断が分かれますね。
洗浄方法や注油方法、またどんなケミカルを使用するのかについては本当に奥が深いので、また別の機会に♪
お店の方でご質問頂ければとことんご説明いたします!!!(^v^)