和光ケミカル研究所を訪問。開発者の皆様と他店舗様との濃密な学びの一日

先日、複数の自転車販売店様と合同で、小田原市鴨宮に本社を構える和光ケミカル様の研究所を訪問させて頂きました。

今回の参加者は合計8名。

皆様それぞれ、メンテナンスやケミカルに対するこだわりを持った、いわば”WAKO’S好き”な面々です。


きっかけは台湾出張でした

3月末の台湾出張。

DT SWISSの小林さんにお誘い頂き参加した台中でのDT SWISSファクトリーツアーや、台北ショーでの各ブランド担当者様と直接お話しさせて頂いた経験は、私にとって非常に大きな刺激となりました。

もちろん展示会で新製品を見ること、触る事も重要です。

しかしそれ以上に価値を感じたのは、メーカーや開発担当者の方々と直接コミュニケーションを取ることで得られる知識や考え方でした。(マルイさんのお陰で、普通はお会いできない方にもお会い出来ました) 

帰国後、

「もっと積極的に、開発・生産現場に触れ学ばなければ」

という気持ちが強くなりました。

そう考えた時に真っ先に思い浮かんだのが、地元小田原に本社を構える和光ケミカル様でした。

当店はメンテナンス用品やケミカルについて本質的な視点と施工経験を持っていると自負しています。その背景には和光ケミカル綾部様から長年に渡って頂いてきた情報やアドバイスも大きく影響しています。

疑問点に対して淀みなく返ってくる回答。

製品の特徴だけではなく、その背景にある理論や考え方まで教えて頂ける環境は本当に貴重なものです。


店舗合同開催という形にした理由

台湾滞在中には、FORTUNEBIKEの錦織さんに大変お世話になりました。

台中で初めて会ったばかりなのに、もう何から何まで

ありえないくらい全部お世話になりました。

今回はそのささやかな恩送り(になるかは分かりませんが)といいますか

せっかく学ぶのであれば、自分だけではなく他店舗様にもお声掛けして一緒に学べる場にしたい。

そんな思いから、今回店舗合同開催という形を取らせて頂きました。

(思えば尊敬する方・大先輩方に対してかなりラフにお声掛けをしてしまったことを後々反省もしましたが)

結果的に、それぞれ異なる視点や経験を持つ参加者の皆様との交流も非常に有意義なものとなりました。


開発者の皆様が勢揃い

当日、綾部様にお出迎え頂き会議室へ案内されると驚きの光景が。

なんと研究・開発・製品担当の責任者の皆様までもご参加頂き、ガッツリお付き合い頂けるとのこと。

実際にチェーンルブやフォーミングマルチクリーナーの開発に携わった方々もいらっしゃり、、

もう、佐々木としては憧れのアスリートやアーティストにお会いしたような気分でしたよ!


WAKO’Sが掲げる「Super Quality」

今回のお話の中で改めて印象的だったのが、WAKO’Sというブランドの考え方です。

和光ケミカル様は自社工場を持たないファブレス企業です。

工場を持つかどうかはあくまで手段の話。目的はどんな時でも安定した高品質な商品をユーザーへ届ける事。

研究開発

現場からのフィードバック

検証

改良

を何度も繰り返すことで、高品質かつ安定した性能を実現しています。

ここまではある意味開発のオーソドックスなプロセスかもしれませんが、

感銘を受けたのはその検証へのこだわりと、フィードバックに対する真摯な姿勢でした。

『どのような環境でも安定して性能を発揮できること』

そのために数多くの測定機器や試験設備を活用しながら、粘度や粘性変化などを徹底的に評価しているそうです。

このあたりの測定機械の説明や評価については…

私自身、一度聞いただけでは理解しきれなかった内容も多く、現在も改めて勉強中です。

詳細な内容は企業秘密のためご紹介できませんが、各担当者様から出てくる言葉一つ一つの淀みのなさと、そこにずっしりと軸を据えている『哲学』には圧倒されました。

WAKO’Sの掲げる「Super Quality」を創り上げている人たちの言葉は、時折り柔らかくポップな表現をされるものの、どこか重くて迫力がある。すごかった。


数値だけではなく「フィーリング」も大切にする

今回、私が最も感銘を受けたのはこの部分でした。

「数値上は優秀な結果が出ている。」

しかし、その製品が発する音やフィーリングがライダーにとって不快であれば、それは本当に良い製品なのか。最大のパフォーマンスが発揮できるのか

「いやいや、音は実際には品質には影響していないよ。これが一番数値的には良いんだよ」というスタンスではなく、最終的に実際に使用するライダーやドライバーの感覚も大切にする。

最終的なパフォーマンスの最適解の為に、ちゃんと『感性』も丁寧に取り入れて製品開発に取り入れている。

その考え方にとても共感しました。

当店でのお客様へのご案内もそう。

ポジション、タイヤ空気圧、ホイール選び。

数値だけでは測れない部分があります。

もちろん数値は重要です。

しかし最後は人間が乗るもの。

ペダリング、ライディングの動作は多面的で複雑です。

またパフォーマンスをつかさどるのは、やはり人間の感性の部分が大きい。 

だからこそフィーリングも大切にしたい。

これは当店が普段から大切にしている考え方とも重なりました。


質疑応答が本番でした

研究所見学も非常に刺激的でしたが、本番はむしろその後。

綾部様をはじめ、研究・開発・製品担当の皆様総勢5名。

対するわれら参加者8名。

Ready-Fight!!!

完全本気の質疑応答大会です(笑)。

製品群、洗車、潤滑、防錆、添加剤、グリス、パッケージ、汗の成分まで

話題は多岐に渡り、時間は完全に足りていませんでした(笑)

他店舗様、メカニックの質問内容や知識・視点もとても勉強になりました。まどんさん仰っていたように、当に『集合知』

 

その場にいられることが幸運すぎるのだ。

もう絶対、第二回も開催しましょうね。 


水洗車って大丈夫?

今回の勉強会で改めて確認できた内容のひとつが、水洗車についての考え方でした。

「水で洗うと自転車が傷む」

そんな話を耳にすることがあります。

しかし実際には、

・汗

・スポーツドリンク

・潮風

・泥やホコリ

その他走行に伴い付着する様々な汚れ一つ一つが自転車の各パーツに対するストレスで、先々のサビ・腐食などを呼ぶ大きなリスクとなります。

 

大切なのは、

『水洗車によるリスク』

『汚れを放置するリスク』

を比較して考えることです。

表面は拭き取り、あるいはウォーターレス洗剤で洗えば良いかもしれませんが、

ニップル&スポーク間、グロメット、その他細かな部分については汚れが残ったままになります。 

 

水で洗う事、水で薄める事が重要

特にトライアスロンや海沿いで使用したバイクなどは、真水で洗い流すだけでも大きな意味があります。

汚れや塩分を完全除去できなくても、濃度を下げることでリスクを低減できるからです。

またWAKO’S製品は、「落とす」だけではなく「守る」という考え方が非常に強く感じられました。

例えばフォーミングマルチクリーナー。

洗浄性能だけではなく、防錆や素材保護にも配慮した絶妙なバランスで設計されています。

ユーザー様がどんな使い方をしても、ある程度性能を発揮すること。

トラブルが起きにくいこと

「わかりやすい」「強力」な製品を作れば売れるかもしれませんが、そういう物はやらない。  

飄々と言いますが、これこそユーザー目線でのSuper Quality


新品チェーンの慣らしについて

こちらは以前からお客様へご案内している内容の通りですが、やはり様々な情報が流れているため、迷われているお客様も多いトピックですね。 

基本的には当店ブログでご紹介した内容と概ね同じ方向性で

*2017年の記事ですので、色々稚拙な部分がありますが。。*

 

新品チェーンに塗布されているオイルは、輸送や保管期間中の防錆・保護を主な目的としています。

そのため最高の潤滑性能を持つわけではありません。ですが、そもそも新品チェーン自体にはどうしてもバリなどがある為そのまま『理想的な潤滑状態』を作ることは難しいのです。

元々ついているあのベタベタオイルは新品チェーンだからこそ持つ攻撃性から、チェーンの各部お互いを守る重要な役割も果たしています。ベタベタが気になるなら表面を拭き取るくらいなら良いけども、やはり「ある程度使用馴染ませてからしっかり洗浄→その時にあった注油をする」というのがセオリーになると思います。

和光ケミカルさんの経験上ではまず最低300km程度は使用して、その後しっかり洗浄・再注油する方法が良いのではないかと。

当店の経験則、ご案内も同様ですが

本当に前提条件によりますからね、このあたりは是非お店でご質問くださいね♪


本番から逆算するメンテナンス

パリオリンピックのトラック競技チームへのサポートについてのお話も大変興味深いものでした。

・新品チェーンは抵抗が大きいので慣らしが必要

・当然慣らしが終わった後には適切な洗浄→注油が必要

・注油をしてから添加剤が反応して最高なコンディションになるまでは一定の走行が必要

そう、最高なコンディションを創り上げるためにはちゃんと検証データに基づいた理想のプロセスがあるのです。一つ一つシンプルで難しいことはありません。ぜひ皆さん理解して頂くとご自身のバイクメンテナンス、パーツ交換時に参考になると思うのです!  

 

ナショナルチームに対してワコーズのサポートチームは

「〇月〇日に新品チェーンを渡します!それで〇〇〇kmはそのまま走ってください」

「〇月〇日に戻してください、完全洗浄&注油します」

「本番前に〇〇km程度走って馴染ませてください」

という感じでスケジューリングして、パリオリンピック本番に臨みました。

結果的にバイクが選手に渡る時期の遅れにより選手がバイクに慣れる期間が短くなってしまった事の影響は小さくなく、五輪でのメダル獲得はならずも。その後の世界選手権などでのトラックチームの活躍はご存じの通り。そしてそこにはワコーズさんが関わっているのです。

 

ちなみに当店のお客様は既に経験されていると思いますが、

レース、イベント、などに向けたスケジューリングは同じですよね。 

積算ではなく逆算です。

・どのタイミングでパーツを交換するのか

・どこまで馴染ませるのか

・いつ完全洗浄、注油するのか。

これはレース結果に影響する重要な要素です。

当店でも富士ヒルクライムなどの目標レースに向けては、本番から逆算しながら交換やメンテナンス計画をご案内しています。

既にカルテ登録されているお客様は、もっと早い段階からお話をしていたりしますが、

「富士ヒルに向けてサイクルデイズにメンテナンスを頼みたい!」

「このイベント絶対完走したいから、メンテナンスは任せたい」

そんな皆様には、遅くとも三か月前頃からしっかりとスケジュールを立てます。

富士ヒル参加の方の場合は『遅くとも』3月頃には決めます。 

消耗したパーツは推進力を奪いますから、交換したほうが良いです。

ですが部品交換のタイミングは大切で

ただ「新しければ良い」というものではありません。

本番で最高の状態になるタイミングを狙うことが大切です。


学び続けるのだ

今回得られた情報やノウハウの全てをブログに書くことはできません。

私自身、まだ十分に理解できていない内容もありますし

前提条件や共通認識を合わせていない方に対して、文章でお伝えできる情報には限りがあるのです。 

ですから是非お店でご相談ください。 

私自身これからも様々情報収集と実践、検証を繰り返しながら。 

その上で、お客様に分かりやすい形で還元していきたいと思います。

  

 

余談ですが、

私自身『自転車競技出身者』ではありませんし

また持病の事もありパフォーマンスの回復に手間取っています。だからこそ、脚力差をなんとか技術の力で埋めようともがき続けている身です。

ですからちょっとの抵抗の差には脚力のあり方よりもデリケートに感じ取り、それに対する探究もシビアに向き合います。

一部ケミカルメーカー担当者様からは疎まれるほど、たくさん質問して探究します。(笑)

 

 

結果を狙いたい方。

快適に長く乗りたい方。

メンテナンスを楽にしたい方。

 

頑張る皆様に、私だからこそ培った技術で応えたい。

Cycle Daysはこれからも、メンテナンス用品やケミカル、駆動系メンテナンスについて学び続けていきます。

ご相談、是非お待ち致しております。 

 

 

最後になりますが

今回貴重なお時間を頂いた和光ケミカルの皆様、ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。

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