キャニオン エアロードのオーバーホール作業ご依頼頂きました。
元々はヘッドパーツのサビ、ゴリつきからの交換ご依頼だったのですが、
せっかく作業に伴いバラしますから、同時に全体オーバーホールも実施する事に♪
ご自身でも様々作業されているお客様なのですが、昨今のフル内装バイクのヘッドパーツ交換は、ほぼブレーキラインを外す必要があり大変ですからね(正しい道具と、少しのコツではあるのですが)
お任せ頂き有難うございます。
さて、ざっくりと時系列で作業模様をご案内。
まずお持ち頂いたベアリングの仕込み作業を。

一度シールを開けてグリスを追加、あるいは入れ替えるかについては議論の余地があり判断が分かれるところです。
・シールを一度開くダメージリスク(それを前提としたベアリングもありますが)
・適正グリス封入量の考え方
最終的にはやはり現物次第
『ものによる』という事です。
今回はシール開け&グリス追加はせず
表面金属部分の防錆コーティングのみ実施して、組み付け時にその上でフレーム・ベアリング表面のグリスアップで耐久性を出していきます。
オーバーホールとしてはまずは全体チェック→洗車→バラシ作業→フレーム・各パーツメンテナンス、仕込み作業→組み付け
という大まかな流れで進めていきます。
洗車後、まずは一番状態の知りたいヘッドパーツにアクセスする為に
バーテープを剥がし、ハンドルを分割して、ヘッドパーツを外していきます。

走行1万キロメートルほどという事ですが、どうしても完成時のグリス量が少なく、当然追加の防錆処理などはされずに組まれていますから
しっかりと錆びています。
全体的に見ると、綺麗に丁寧に乗られているようなのですが、このようにアクセスが難しいところはケアも難しく仕方ないですね…

次はもっと長い期間保つように組ませて頂きます。
キャニオン独自の、ステム側・フォーク側とで嵌合する部分。
分割式で幅が調整できるハンドルバーと合わせて
「ユーザー自身が作業出来る」
という構造。

ブレーキホースは潰れ・キズなどがない事を確認して再利用します。ハンドル内部、フレーム内部に余裕を持ってホースを組まれていた為(うちもそう組みます)接続部をカットしても長さに余裕がありました。

フレーム、ステム側にもサビの跡が。
もちろんしっかりと綺麗にしていきます。

取り外したベアリングが左側。特に上側ベアリングは汗・雨などの影響を受けやすいので状態が悪くなりやすいですね。

このタイミングでコラム、ヘッドワンに打痕・ダメージがないかもしっかり確認します。

各パーツの洗浄、仕込みをしてから組み直していきます。

すみません、組み付けは手が4本くらい欲しいほどの作業でして
画像がありません。。
・フォークとフレーム側共にブレーキキャリパー一度外してクリーニング&簡易コーティング
・キャリパー、ホース組み付け
・フレーム、フォーク、ベアリングそれぞれグリスアップ
・ホースをステム内に通しながらフォーク&ステムを組み付け
・分割式ハンドル、STI組み付け
・ブリーディング
といった流れを一気に進めます

そもそもオーバーホール
基本は『バラシ→組み付け』というようにまとめてやるのですが
全体的な作業段取り、スタンドの使用予定(別作業が途中で入るなど)によっては今回のようにそれぞれ分けて実施します。
その他作業も写真のある範囲でご案内
ブレーキパッドは3種類の洗浄剤使用してブラッシングやつけ置きなどをやりつつ順番に。
(状態によってはパッド残量あっても交換します)

ローターも同じくレイヤーになっている汚れを落としていきます。

よく音なりの原因になるのが
フレームとプレスフィットBBとの間での異音。
どうしても工場組み付け状態ですと適切なグリスがチョイスされていなかったり、そもそも塗られていなかったり。

プレスフィットが出始めた頃はそもそも「グリスを塗るべきかどうか」「何を塗るべきか」が定まっていなかったのですが、
最近はもうある程度答えは出ていると思います♪

フロントディレーラーは意外と錆びさせてしまっている方が多くいらっしゃいます。

洗車時もしっかりとケアしてあげる必要があります。

こちらは例えば、金属バネ部分はMucOff HCB1
リンク部はメンテルブ、プレート&本体はバリアスコートで。
既にプレート部が錆び始めている場合はHCB1を塗布する事もあります。



各パーツをそれぞれメンテナンスして、取り付け待ちトレーへ。
もちろんスターラチェット部のメンテナンスも。


こちらもシンプルなようで奥が深く
色々と注意点があります。
そして…
完成です。

組み付けは一気にリズムで進める為、いつも途中の画像がありません…


今回の作業はバーテープまで入れて約60,000円となりました。
参考にして頂ければ幸いです。